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持久力の向上


興味深い記事がありましたので転載します。
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◎ランニング特集―ミトコンドリアに秘密、短時間で持久力アップ。
(2012/11/24 日本経済新聞 朝刊)

 「長い距離を走り込まなくても持久走のパフォーマンスは上がる」という実験結果を近年、各国の研究者が発表している。これにもまたミトコンドリアがかかわっているらしい。
 ではどうやって持久性の能力を高めるのか。注目されているのは、こんな短時間の高強度トレーニングだ。30秒間の全力運動を4回から7回繰り返す。間隔は4分で、その間、足を止めてしまってもかまわない。
 カナダの研究者が、自転車を使った全力運動を週に2~3回行ったグループと、週3回、60分間走をしたグループを比較した ところ、同じ効果が出たという。
 60分間走は最大酸素摂取量(運動中に摂取できる酸素量の上限)の65%の力で行っている。別の研究者は自転車ではなく、ランニングによる全力疾走で同様の実験結果を出している。
 この高強度トレーニングは1日に正味14~27分で済む。それなのに60分走ったのと同じ効果があるというのだから、かな り「お得感」がある。
 環太平洋大(岡山市)体育学部の吉岡利貢講師は筑波大研究員時代に同様の実験をしている。故障で走れないランナーが自転車 で3週間、全8回、このトレーニングに取り組んだだけで、LTスピード(ゼイゼイせずに走れる速さの上限)が1キロ当たり 20秒も向上したという。
 LTとは乳酸性作業閾(いき)値のことで、走る速度を上げていったとき、有酸素運動が無酸素運動(主に糖を分解してできる エネルギーを使う)に切り替わる境目を指す。LTスピードが速いほど乳酸が蓄積しにくく、理論上は速く長く走れるようにな り、マラソンの記録は上がる。
 吉岡さん自身も週1~2回の自転車による全力運動を試している。200~240キロだった月間走行距離は80キロに減った (ほかに自転車通勤で1日、往復12キロ)にもかかわらず、マラソンの記録は落ちず2時間40分で走れたという。
 「持久性の運動のパフォーマンスを上げるには、持久性のトレーニングをしなくてはならないと考えられてきたが、必ずしもそ の必要がないとわかった。そこが興味深い」と吉岡さんは話す。
 なぜこういうことが起きるのか。全力走をしても心臓の機能は高まらず、一回拍出量(心臓が1回の収縮で送り出す血液量)は 変わらない。
 しかし、動静脈酸素較差(動脈で送られた血中の酸素が筋でどれだけ使われ、静脈を通して心臓に戻ってくるかを示す)が大き くなる。つまり、筋肉で酸素がより多く使われるようになる。
 これは、最大の負荷をかけることによって、ミトコンドリアが酸素を使ってエネルギーを生み出す回路の働きが速くなったとい うことだという。短時間ではあるが、これほどの高強度のトレーニングをすると、いわばミトコンドリアの機能が高まり、長時間 走り込んだのと同じように持久性の能力が向上するわけだ。
 しかし、初心者がいきなり全力走をしては故障の危険性がある。ゆっくり長く走ることから始めて、ベースをつくるのが先決 だ。そこでもし、低強度運動の効果が頭打ちになったら、全力走を試す手はある。
 吉岡さんのお薦めは、坂を30秒間、全力で上り、ゆっくり歩いて降りてくる練習法。立ち止まってもOKで、ゆっくり休んで 次の疾走で大きなパワーを出せるようにしたほうがいい。
 レースの3~4カ月前から全力走を取り入れ、2カ月前からは頻度を減らし、レースペース走を中心としたトレーニングに移行 する。走量が減るので、それに合わせて食事の量を減らさないと、体重が増えてしまい、記録が伸びないということになるから注意する必要がある。



◎ランニング特集―走ると理科好きになる(ランナーのホンネ)
(2012/11/24 日本経済新聞 朝刊)

 短い時間、全力で走ることによって、マ ラソンのタイムが縮まるというのだから、不思議でならない。
 全力走とはどういうものなのか、ちょっと想像しただけでも、つらいのはわかる。嘔吐(おうと)する者 がいるし、終了後、しばらく気分が悪いという。
 そんなことを聞くと、腰が引ける。「30秒の全力走の繰り返しでマラソンが速くなる? そんなバカ な」と思い込んでいるのは、そんなきつい練習を避け
たいからかもしれない。
 しかし、「怖い物見たさ」で試してみたくもなる。どれほどつらいものなのか、知りたくなってくる。そ んなことを考えてしまうのはランナーのサガなのかもしれない。
 ただし、この練習法には大きな問題がある。ランナーは走りたいから走っているのに、全力トレーニング はそれほど走らなくていいのだ。月間走行距離を減らさずに、全力走を取り入れると、故障のリスクが高ま る。だから、走量はぐっと減らさなくてはならない。
 その拘束に、私は耐えられるだろうか。しかも、走る量を極端に減らしてレースに臨むには勇気がいる。 「こんなに走っていなくて大丈夫なんだろうか」と不安になるはずだ。
 走りたくてムズムズするのではないだろうか。その欲望を、私は抑えることができるだろうか。ワーカホ リックならぬ、“ランホリック”には、心理的に難しいトレーニングなのではないだろうか。
 私が全力走を取り入れるかどうかは別にして、スポーツ科 学の知識を得るのは楽しいことだ。体の中でどんなことが起きているのかを実感はできないが、ミトコンドリアがごそごそと働いているのを想像すると面白い。
 ランニングを始めてから、私の頭の中には医科学用語が増えてきた。理科系人間に変容したとまでは言わないが、科学への興味はにわかに増している。考えてみれば不思議な気がする。ミトコンドリアとミドリム シを混同していたような人間が、えらそうに科学の話をし始めたのだ。
 いまになって「そういえば、これは高校で習ったなあ」と気付くことが多い。こんなことなら、もっと しっかり学んでおけば良かったと思う。こんな楽しい話をどうして避けていたのだろう。日本の理科教育に 問題があるのではないかとも思ってしまう。
 理科嫌いだった子どもが、大人になって科学に興味を持ち始める。そういうケースはランナーでなくて も、少なくないのではないだろうか。大人になって、科学の世界の深み、何ともいえない味わいに気付くの かもしれない。
 これはランニングについても言えることだろう。子どものころは、ほとんどが走ることを毛嫌いする。しかし、どういうわけか、いまやランニング愛好家が世にあふれている。
 これもまた日本の体育教育の問題ではないかとも思うが、ランニングの深みや味わいは大人になってこそ 気付くものという感じもする。理科嫌いで、体育嫌いでもあった人間が年月を経て、走り始め、合わせて科 学に興味を持ち始める。
 アミノ酸がどうだとか、ミトコンドリアがどうだとか、脳の海馬がどうだとか、頭を巡らせることによっ てランニングがより楽しくなる。知識をいっぱいにしたからといって、記録が伸びるとは限らないが、まあ、それでもいい。
(編集委員 吉田誠一)======================================================

子どもの頃はランニングが好きだった啄木鳥は、現在はとても長距離走にチャレンジという心境になりません。

どうしましょうか? と腹部を撫でながら禁煙の夢を見ているのです。




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by fight-nagano | 2012-11-26 11:31 | 各種話題
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